植物の種は、人間で言えば魂にあたります。大自然の循環は、太古の昔から限りなく生死を繰り返し、進化を遂げてきました。これは、まさに魂の仕事です。
仏教でいう“輪廻転生”(りんねてんしょう)とは、人間の生まれ変わりを説いたものですが、あなたはこれを信じますか?
私はよくこんな体験をします。ある人のレベルの高いお話を聞かせて頂いている時、一瞬とても深く理解できたような気になる事があります。ところが、帰りがけには、それを思い出そうとしても解らなくなっているのです。さっきまで理解できたように感じていたものが、もう消えてしまっているのです。皆さんもこんな経験がありませんか?頭の理解はすぐに消えてしまいます。でも、自分自身で実践体得したものはいつまでも覚えています。これは、自分自身の体験によって、魂のレベルで思い出すからです。そのようにして学んだものは、消える事がありません。大自然で起こっている事は、こういう次元のものなのだと感じます。
野菜の種は、長細いものもありますが、ほとんどが丸い形をしています。その小さな○の形で、こっちの人からあっちの人へ、あっちの土地からこっちの土地へと移動して、その土地の風土に順応しようとします。種は、今まで育った土や気候風土、生産者のしてくれた事を全て覚えています。土もまたそうなのです。
ある生産者にこんな質問をされました。「ナスに病気が蔓延して今年は全く良くなかったんです。でも種だけは、なんとか採れました。病気のナスから採った種だけど、来年播いても大丈夫ですか?」そう聞かれると、一瞬迷いましたが、信念に従ってこう答えました。「絶対大丈夫!」。確かに農学的には、その種は病原菌を持っているかもしれませんが、病気を乗り越えた経験も持っているはずです。そして、翌年その生産者は立派なナスが出来た事を教えてくれました。
私達人間は、何十回も何百回も生まれ変わって生きています。魂は、あらゆる職業、あらゆる想いを経験し、学んで成長してきました。これからも終わる事無く経験し、学び、成長を続けていきます。私は、畑で大自然からハッと気付かされる事が度々あります。生産者なら誰もが経験する事です。その時、全く知らなかった事を始めて知ったというより、すでに知っていたものを思い出した様に感じるのです。農業を経験したことの無い人(魂)はおそらくほとんどいないでしょう。土に種を播き、作物が出来た時の喜び。何だか懐かしくありませんか?初めて菜園に挑戦して野菜が出来た時、誰もが口にするその喜び。魂が知っていた人間の本来の姿を思い出したからではありませんか?
橋本 進
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