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自然農法は唯心農法

 私は自然農法を始めて数年経った時、衝撃的な体験をしました。国道24号線を東に向かって車を走らせているときでした。突然解ってしまったのです。肥料なしで作物ができる。始めから何も要らなかった。『自然力』を理解できた瞬間で、全身に電流が流れたように感じました。それは大自然からもらった気付きの中で一番大きなものでした。

 そして、いつもする話があります。長女の歩実がまだ2才か3才の時、家から木製の小さなおもちゃを畑に持って来て、それを土に埋めてジョロで水をやっていたのです。どうやらおもちゃが増えると思ったようなのです。私はそれを見て感心しました。まだろくに言葉もしゃべれない子供が、いつも親のやっている事を見て、“土は物を生み出してくれるもの”であるという事を、イメージとして理解しているのです。その事で私は、「自然農法は最も身近な唯心教育」だと言うようになりました。特に子供には、清らかな農場で充分な時間を過ごさせてあげる事が大切です。子供はだんだんと、目に見える物のその奥にある、神秘や霊性に気付くようになります。

 私は、「自然農法は唯心農法」だと表現できると思います。土に肥料を与えないで栽培するには、大自然の力、土の力を信じきる事が出来なければそれは出来ません。その為、一般的な農法から自然農法に切り替える事は、なかなか出来ないものです。一般的な農法をされている農家の方々が見学に来られる事がありますが、皆さん同様に大変な衝撃を受けて帰られるようです。肥料を入れないで、立派な野菜が育っているという事実が、まるで奇跡を体験したかのように感じるのでしょう。これは自然農法の持つ力であり、魅力だと思います。それは、「人間を唯心に目覚めさせてくれる力、大宇宙の摂理に心を開かせる力」です。 自然農法の食材が他のそれと決定的に違うのは、食材の持つ生命力であると言えます。

 人間の糧とは、食べ物のもつ霊気(生命力)です。ハンガリーの物理学者、アーヴィン・ラズロ博士は、地球はひとつの生命体として、今までの何億年という歴史を記憶として宇宙の真空に蓄積していると言います。つまり、宇宙は記憶を持っていると。

 そうであるなら、作物や種にも記憶があるはずです。生産者の朝起きてから寝るまでの想い、行動、生き方、愛情などが一本の大根を形作っていきます。つまり目に見えない履歴です。生産者の愛情がこもったお世話から生まれる作物の、清らかな霊気こそが、人間の正しい食べ物であり、人間を健康にしてくれます。

 作物の履歴を想いましょう。


                                     橋本 進


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