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自然農法は生命のお勉強

 私が尊敬する自然農法家は、「自然農法は生命のお勉強」だといいました。私も本当にそう感じるのです。私はいつも言います。「農場で大自然と向き合う事は、神様と向き合う事。自然農法は人を高い意識へと導いてくれる。」と。だから自然農法の素晴らしさを体験したければ、農場に足を運ぶ事が最も有効な手段です。また、自然農法の農場には、強く清らかなエネルギーが満ちているようで、その場にいるだけで元気になるものです。 

 橋本自然農苑では、大根の種を9月の中旬頃に播きます。そして、12月には立派な大根に成長して、皆さんの食卓に上がります。その間およそ2カ月半。大根が成人になるまでには2カ月半かかるんですね。ところが、大根の一生はこれで終わりではありません。1月を過ぎ、2月の中旬を過ぎるころには、大根は子孫を残す為の準備に入ります。大根の葉の真ん中から茎を伸ばし始め、4月頃には美しい花を咲かせるのです。その美しい花は昆虫を招き寄せ、受粉を委ねるのです。やがて無数の種をつけ、大根は生涯の最も大切な仕事を終えるのです。人間が手を加えなければ、その種が地面に落ちるのは大体7月か8月になるでしょう。2月から始まった次の世代を残す営みは実に半年にも及びます。大根は自身の成長よりも、次世代を残す事にはるかに多くの時間を使うのです。このことは、人生にとってもおおいに教訓になります。

 そして、作物の生育初期に水を切らしてしまうと、後でどんなに水やりなどのお世話をしてもダメな事があります。このような事から、幼少期の食事や教育が如何に大切であるかを大自然は教えているように思います。幼少期の食事は、その後の肉体と精神の成長に少なからず影響を与えると私は思っています。

 また、作物の栽培は時期を逃すとうまくいきません。例えば私の農場では、はくさいの種まきを9月3日頃に行います。早すぎると気温が高すぎて害虫の餌食になってしまします。逆に遅くなると、今度は生育が間に合わず、はくさいが結球しないのです。「すべてのことには時がある」事を大自然は教えてくれています。

 また、こんなこともあります。畑に生えてくる草をよく観察していると、土の成長に伴って生えてくる草の種類が変わっていきます。草の状態によって、自分の土がどの程度まで進化したかがおおよそ判断できるのです。あらゆるものは動き続けていて、止まっているものはありません。「生命は変化」であることも学びました。自然農法の農場では多くの気付きが用意されています。「自然農法は生命のお勉強」である事をつくづくと実感するのです。

                                     

                                     橋本 進


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