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土や植物には心がある

 土や植物にも意思、感情があります。あなたはこれを信じますか?

 私が自然農法を始めた初期の頃のお話です。あるイベントが4月18日にあり、そこに野菜を出そうと決めたのです。そこで、ビニールハウスに小松菜などの菜っ葉の種を播きました。4月18日頃は、温かくなってくる時期で、トウ立ち(野菜が花を咲かせる為に茎を伸ばす事)の季節であり、栽培技術の未熟だった私にとっては難しい作付けでした。ハウスの温度管理を自分なりに考え、祈りながらの作業でした。その結果、イベント前日にはちょうどいい大きさのきれいな野菜が収穫できました。ビニールハウスの温度管理が我ながらうまくいったと得意になっていたのでした。イベントが終わり次の日にハウスを覗きに行って私は驚かされました。昨日まで何ともなかった野菜が、ひとつ残らず一斉にトウ立ちを始めていたのです。一瞬、直感的に理解できました。「本当はトウ立ちをしたかったのに、我慢してくれていた!」私は、野菜たちのけな気な姿がとっても愛おしく想えて、その時ばかりは本当に野菜と会話をしているようでした。

 それでは土にも意思はあると思いますか?スギナという草は化学肥料や農薬などによって、酸性に傾いた土壌によく生えてくる雑草です。スギナの体内には多くのカルシウムが含まれていて、そのような土壌を中和させてくれます。つまり“浄化作用”です。今まで無かった草が突如として現れる。一体どこに種があったのか?誰の意思で生えてくるのか?不思議というより他ありません。土は意思をもって、酸性に傾いた自分の体を中和させる為に、自らスギナを生やします。大自然の素晴らしさ、力強さは人間の知恵の及ぶところではない事を思い知らされます。

 一般的な農業の考え方では、土の成分をまず調べ、化学肥料や有機肥料などを人為的に投入する事で、足りない栄養分を補います。これを“肥培管理”(ひばいかんり)と言います。でも、自然農法ではそれを土にお任せします。土に自然堆肥(自然の草や落葉から作った堆肥)以外、一切の不純物を混ぜずに、ただピュアな状態を保ち、愛情を注いでやる。それだけで土は生命力に満ち溢れ、自ら“肥培管理”を行い最上の状態に調整してくれるのです。そのような土で育まれた野菜には、『天与の味わい』が生まれてきます。まさに神(大自然)の味付けです。

 「無肥料」「自家採種」「連作」「人間の愛情」これらは“農業の芸術”自然農法のキーワードです。                     

                                     橋本 進


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